現代の新しいお墓の問題とは?

2017年3月31日

少子高齢化など社会の変化により、お墓を巡る問題が深刻化しています。

お墓を承継して維持管理の責任を負う子孫がいないケースや、遠方に居住しているため供養や清掃が難しいケースが急増しているのです。

承継する人がいない場合には管理料が支払われないため、先祖代々のお墓が無縁墓になってしまうことも考えられます。

少子高齢化でお墓の問題が深刻化?

少子高齢化や生涯結婚しない人の増加は日本における大きな社会問題ですが、お墓の維持という面でも深刻な問題を引き起こしつつあります。

 

子どもの数が少なければ、将来的にお墓を守ってくれる人が確保できなくなります。どうにか子どもがいても、一人っ子同士で結婚するようなケースでは、1世帯で2つのお墓の面倒を見ることになり、そのためにとられる手間や時間は大きな負担です。

 

また生活圏が広くなっていることもお墓の管理にとってはマイナスに働きます。現代では仕事のため生まれ育った地域を離れて、遠方の都市や場合によっては海外に居住することが珍しくありません。お墓の世話をしたくてもできない人が増えているのです。

お墓の承継ができないケースが急増?

将来的にお墓を承継する人が見つからない、というケースも増えています。お墓はもともと長男が承継して維持管理し、さらにその長男が受け継ぐという形で脈々と守られるものでした。

こういった形式が続けられた要因は二つあります。一つは結婚して子どもを作るのが当たり前とされており、承継する子どもがいないというケースが少なかったこと。もう一つは長男が生まれ育った自宅や田畑などを単独で相続する「長子相続」が当たり前とされていたことです。

 

財産を独り占めする権利を得る代わりに、長男にはお墓の面倒を見る責任が課せられたのです。戦後、民法が改正されて兄弟姉妹の相続権が平等とされましたが、「お墓を守る」という責任については特に法的な決まり事がなく、権利と責任が分離されてしまっていることもお墓の承継がうまくいかない原因の一つと言えそうです。

管理できなければ無縁墓になってしまう?

お墓の維持には永代供養料の他に管理費が必要です。承継する人がおらず、管理費が支払われないお墓は「無縁墓」として墓地・霊園の管理者によって整理されてしまいます。墓石は撤去され、更地にされてしまうのです。

 

10年前に比べて2倍に増えているというデータもあるほど、近年はこの無縁墓が急増しています。

現在あるお墓について、維持管理が難しいと思える場合には、お墓の引越しなどを検討すべきでしょう。たとえばお墓を承継した人が墓地から遠く離れているケースでは、お彼岸やお盆などにお墓参りをしたり、清掃したりすることは困難です。また高齢化が進むと足腰などが弱るため、やはりお墓の維持管理は難しくなります。

 

そんな時には、より身近な墓地・霊園にお墓を移設したり、お墓を引き払うことで無縁墓になることを防ぐことができます。

まとめ

生涯結婚しない人の割合を示す生涯未婚率が2010年時点で男性では20.1%にのぼるというデータもあります。結婚や家族に対する意識が変わる中、お墓を巡る問題を抜本的に解決する策はなかなか見当たりません。基本的には早めに将来を見据えて、誰がお墓を受け継ぐのか決めておくのがよいでしょう。

One Point コメント

承継する人がいないとお墓は無縁墓になってしまうのですね。先祖代々受け継がれてきたお墓を自分の代でなくしてしまうのは、たいへん申し訳ないことだと思います。昔は長男がお世話するものだったかもしれませんが、時代の変化に合わせて、兄弟姉妹や親族が協力し合って守っていくのもよさそうですね。