縁起の悪い方角も? 仏壇の向きには決まりがある

2017年3月18日

南向き、東向き、本山向きの3パターン

初めて仏壇を購入する方では、「どこにどう置くか」設置場所で悩む方が少なくありません。昔のように最初から「仏間」があればよいのですが、最近ではマンションや建売住宅の間取りを見ても、まずそういったスペースは見当たりません。

 

仏教の考えでは「仏様は十方すべてにおわす」ということになっていますから、仏壇をどちらに向けても問題はありません。ただ、基本となる3方向がありますから、宗派の考えに合わせてそれをまず検討してみるのがおすすめです。

中国式は、南向きに置く(曹洞宗・臨済宗など)

部屋の北側に置いて、仏壇の正面を南に向ける方式です。中国ではその昔、部屋に坐る時には高貴な人が南を向き、下位の人は北を向く習慣がありました。これを模して、仏様の居場所である仏壇も南向きに設置するわけです。

 

また釈迦が説法を行う時に南を向いていた、という説からこの向きを推奨する宗派もあります。永平寺・総持寺を本山とする曹洞宗、妙心寺を本山とする臨済宗妙心寺派、南禅寺を本山とする臨済宗南禅寺派などです。

インド式は、東向きで極楽浄土を拝む(浄土真宗・浄土宗・天台宗など)

インドでは日の出の方角である東が、立身出世の象徴として尊ばれます。これに倣って仏壇を東向きに置くよう推奨する宗派も見られます。阿弥陀如来がいる極楽浄土は西方にあるとされるため、東向きに置かれた仏壇を拝むと、自然と阿弥陀様を拝むことができる、という利点もあります。

 

西本願寺を本山とする浄土真宗西本願寺派、東本願寺を本山とする浄土真宗大谷派、高田本山専修寺(三重県津市)を本山とする浄土真宗高田派、知恩院を本山とする浄土宗などがこの向きを勧めています。ただしこの置き方では西日が当たりやすいので、窓との位置関係などに気をつける必要があります。

拝む向きの延長線上に本山が(真言宗)

「拝む方向の延長線上に本山が来る」という置き方を推奨する宗派もあります。地図などを参考に、向きを決めますが、多くの家が南向きに作られる中、仏壇を中途半端な向きに置くことは、家の構造上少し難しいかもしれません。

 

ちなみに真言宗の総本山は、和歌山県にある高野山金剛峯寺です。

神棚、床の間との関係などNGに気をつけて

それほど神経質になる必要はありませんが、仏様の居場所であるということと、主に木製品である仏壇の保全という観点から、NGとなる向きをそれぞれ考えてみるのがよいでしょう。

 

たとえばひとつの部屋に神棚と向かい合わせに置くのは、あまりおすすめできません。神棚を拝む時には仏壇に、仏壇を拝む時には神棚にお尻を向けてしまうことになるためです。またテレビなど電化製品の上なども、敬う気持ちを大切にする意味では不向きでしょう。

 

木製品である仏壇は直射日光に弱いという特徴があります。北向きはNGとされるのは、自然とお部屋の南側に置き、直射日光に当たってしまうため。暖房の熱やエアコンの風が直接当たる向きも、やはり仏壇が傷みやすくなってしまうので、避けた方がよいでしょう。

まとめ

仏壇の向きには宗派ごとの考え方があるので、よくわからないときには仏具店などに訊ねてみるのもよいでしょう。また傷まないように、という観点からも向きや置き場所を選ぶ必要があります。